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2010年7月27日火曜日

自分であること

 ジョナスが12歳を迎える儀式の場で、主席長老は、以下のようにスピーチしました。

 「いまや、差異を肯定すべき時がきたのです。あなたがた<11歳>は、これまですべての歳月をかけて調和を学んできました。標準からはずれる行動を避け、グループ内で目立つことになるようなあらゆる衝動を抑制してきました。
 けれど今日、わたくしたちはあなたがたの差異を称えます。差異こそが、あなたがたの将来を決定したのです」(72ページ)

 ということで、12歳になるまでは、調和というか「同じ」であることを強いられ続けました。誕生日はありません。★誰が本当の親なのかわかりません。着るものはみんな同じです。することも同じです。食べる食事もみんな同じです。

 今日から「違い」ますと言っても、従事する仕事が違うだけで、他はすべて前と同じです。録画と録音で監視され続けることも同じです。

 このコミュニティの中で記憶を継承する2人だけが、「自分であること」の大切さに気づいてしまったと言えるかもしれません。そして、そのために行動を起こしたのがジョナスでした。ジョナスの前任者のローズマリーも10年前に同じことに気づいてしまったのかもしれません。しかし、彼女が「自分であること」を貫くために選んだ行動のしかたは、ジョナスのそれとは違いました。

(参考: A Reading Guide to The Giver, by Jeannette Sanderson, Scholastic, p. 37 - 38)

 
★ ジョナスがギヴァーから楽しい記憶をたくさんもらい受けましたが、そのうちの一つは「誕生パーティー」の場面でした。

 「一人の子どもだけが選び出されて、自分の生まれた日にお祝いをしてもらうのだ。ジョナスはそれ以来、特別でかけがえのない、自尊心をもった一人の個人として扱われることの歓びを理解した」(170ページ)とあるように、ジョナスのコミュニティでは「自分であること」の核ともいえる「自尊心」も排除してしまっているわけです。(「愛」という感情もでしたが。)

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