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2010年7月22日木曜日

話し合う力

 リーディング・ワークショップは、当然のことながら読む力を身につけることを主眼にした教え方・学び方なのですが、それを通して身につく話し合う力にもすごいものがあります。

 『リーディング・ワークショップ』の本の中でも、全部で13章中、
 第9章:  話すことを読むことに活かす
 第11章: 話すことと書くことを活かして、読みと思考を深める
 第13章: ブッククラブ
の3つの章が話すことに焦点を当てています。

 中でもブッククラブは、読んだことについてチームで話し合いをするのですが、子どもたちがもっとも好きな活動です。

 これらの視点はいずれも、日本の国語の授業で典型的に見られる、教師主導で行われる話し合いのことではありません。あくまでも、子どもたち同士の話し合いのことを指しています。ですから、社会人になってからもっとも必要な能力の一つである相互に認め合いながら、協力し合って、話し合う練習の機会がふんだんに設けられ、それに付随する諸々の能力や態度(昨日のEQやライフスキル)も身につけていくわけです。

 第9章には、話し合いの場では「単なる発表ではなく、展開と発展」こそが大切という項を設けて(150~3ページ)、『リーディング・ワークショップ』の執筆者たちがブッククラブをやり始めた時に犯した失敗も書いてくれています。学会や研究協議の場などでよく起こっている、各自が用意してきたことを単に発表し合う伝統的な方法で満足していたのです。場を共有している人たちが、他の参加者が言ったことをよく聞いて、それを発展させたり、自分に引きつけて展開したり、というやり取りがまったく欠落していたわけです。

(ちなみに、ここで教師たちがしたことは第1章の「ほかの人の言葉から学ぶ」(20~22ページ)で小学校1年生がしていることとまったく同じことを大人たちもしていることを示しています。)

 話し合いを発展させる方法を身につけることで、私たちは考えを変える可能性が広がり、従って変化を起こすというアクションに移す可能性も高くなるわけですが、話し合いを発展させられなければ、同じところに止まることを意味します。

 もう一つ、「聞く」「話す」で構成される話し合いの、読むときや書くときとの共通点についてです。これについてはすでに6月29日に書きましたので、そちらをご覧ください。

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