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2010年4月6日火曜日

コミュニティについて 6

これまでは学校教育の例を紹介してきましたが、今回は成人教育です。

スウェーデンに11ある学習協会の中では、小さい方から2番目の「学習推進協会(Study Promotion Association)の本部を訪ねたことがあります。それでも、全国に19の地域事務所と、100の支部と、800人の学習サークルのリーダーを抱えています。実施しているサークルの数は、年間に行われる全学習サークルの約5%にあたるそうです。なんとスウェーデン全体では、32万以上のサークルが活動しており、290万人の人が参加していると言われています。(スウェーデン人の5人に一人は、学習サークルのメンバーと言われています。)

驚くなかれ、スウェーデンでは5人が集まってグループを作り、11の学習協会のいずれかに登録すれば「学習サークル」として認められ、学習活動にかかる経費の80~90%を国、郡、市町村から補助金の形で登録した学習協会を通してもらえることになっているそうです。これは、政権が変わっても続いているとのこと。

多くの人は、文化や趣味のサークルからスタートしますが、その後も継続してサークル活動に参加する人が多く、3人に一人の割合で地域の活動や政治に関心を持ち始める、という数字が出ています。

基本的に、学習サークルは講師を連れてきて話を聞くのではなく、参加者が自分たちの共通のテーマを設定して、それについて参加者が互いに教え合い/学び合う会です。サークルに参加する各自の知識や経験に基づくと同時に、それらを共有し合うことが求められ、お互いに励まし合って学ぶ雰囲気が不可欠です。この形態は、大人が学習する理想的な形とされており、その特徴を整理すると以下のようになります。

参加者こそが主人公 ~ 参加者の主体性が重んじられる。リーダーやたまに登場することもある専門的な知識をもった「講師」も補助的な役割。しかし、リーダーの存在は、サークル活動を効果的に展開するために不可欠であり、リーダーの能力に左右される部分は多分にあるとされている。リーダーとなる人たちは、サークル・メンバーをサポートするための十分な研修を受けていなければならない。

参加者がイコールな関係で、民主的に(協力して)学ぶ雰囲気がつくられる

参加者の興味・関心によってテーマが設定されているだけでなく、日常生活の中で活かせるものにすることを目的にしている

継続性が重んじられている


日本の社会教育や、社員研修、教員研修などの組織内研修とも大分発想およびアプローチの仕方が違います。従って、その成果も自ずと違ってきます。

残念ながら、『ギヴァー』は主人公がジョナスなので、大人たちがどんなふうに学んでいるのかはまったく書かれていません。

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