★本ブログへのご意見・ご感想などは giverprojectjapan@gmail.com までどうぞ。


2010年4月18日日曜日

訳者にとっての「言葉」 その2

2回目は、「こだわった言葉」について、島津さんに答えてもらいました。

-----------------------------------------

言い回し・表現という意味では、「会話」にはちょっと執着したかなあと思います。
ジョナスたち少年少女、ギヴァー、妹のリリー、ジョナスの両親、等々、
それぞれのキャラクターが明瞭に浮かぶような「話し方」をさせようと、あれこれひねり回しました。
ジョナスなら、繊細さ・感受性・知性、言葉や概念への関心。
アッシャーなら、朗らかさ・奔放さ、言いまちがいのおもしろさ・・・などなど。
ローリーさんの作品の最大の特徴・魅力のひとつは「映像喚起力」なので、
それを日本語でも再現できればなあ、と。
この「映像喚起力」のことは、記憶の世界の表現でも気を使いました。
ジョナスが体験している風景を、できるだけ鮮やかに表現したくて。
もちろん、首尾よくいったかどうかは、読者の判断することですけれど。

「言葉」ですぐに思いつくのは「器」と「注ぐ」ですね・・・
ギヴァー・レシーヴァーを、どうやって的確で印象的な日本語にするか、最後まで悩みに悩みました。
ある日、ぱっと「降りてきた」感じです。
しかしこれまた、「なかなかうまい訳語を見つけた!」なんて思っているのは、訳者だけだったりしますよね。

0 件のコメント:

コメントを投稿