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2010年5月12日水曜日

理想とは、現実とは

 ある意味で、理想の状態を追い求めて行き着いた先が、ジョナスが住むコミュニティなわけですが、私たちも、似たようなことをしている気がします。

 そこで今回のテーマは、ちゃんと池田さんが『14歳からの哲学』の中で扱ってくれている「理想と現実」です。

93 (一般の人は)両者がまったく相反するものだと思っているんだ。でも、そうだろうか。
  たとえば君は、イチローを理想の人物とする。自分もいつかああなりたいと思う。それなら君は、彼を目標として毎日練習を励み、少々の辛さでは弱音なんか吐かないはずだ。理想を現実としようとする自分の努力に、疑いはないはずだよね。それなら、そんなふうに、理想によってこそ力強く生きられている君の毎日、つまり君の現実は、すでに理想であるといってもいいんじゃないだろうか。
  でも、もし君がここで、実際に大リーグに行けなかったことで自分を責め、「しょせん現実はそんなもんだよ」と言い出した時、まさにそれが君の現実になる。理想と現実とを別のもの、理想を現実の手の届かないものとしているのは、現実ではなくて、その人なんだ。自分で理想と現実とは別物だと思っているんだから、理想が現実にならないのは当たり前のことじゃないだろうか。

 ウ~ン、確かに!!

94 観念が現実を作っているのであって、その逆ではないと、前の章(社会とは)で言いました。思いや考えが状況や環境を作り出すのであって、状況や環境によってその思いやその考えになるのではないということです。だから、この場合では、理想こそが現実を作っている、理想を失わずにいるのであれば、それはすでに現実であるということになるね。

 ということは、まさにジョナスの行為 = コミュニティ脱出!!!
 それは、もちろん自分のためというのではなく、ガブリエルのためであり、そしてコミュニティの人たちのために。


  だって、考えてもごらん。もし目標としての理想が自分の内にあるのでなければ、どうやって人は何かをすることができるだろう。「何かをする」ということは、必ず何かを目指してすることだ。歩くことだって、そこへ行こうとするからだし、物を把むことだって、その物を把もうとするからだ。何であれ何かをすることの目標があるのでなければ、人が何かをするなんてことはあるわけがないとわかるね。
  どうして人が何かをするかと言えば、そうすることが自分にとってよいと思われるからだ。自分に悪いと思われることを、わざわざする人はいないよね。だから、人が何かをするということは、必ずよいと思われることを目指してするということなんだ。

 なるほど。意識することが大切なんですね。

95 単なる空想なら現実になるわけがない。理想を実現しようと努力することこそが現実なんだ。
  理想がなければ現実はないということ、少しは実感できるようになっただろうか。目に見える君の人生や、君の人生を含みこの社会を、一番深いところで動かしているのは「理想」、目に見えない観念としての理想なんだ。ちょっと難しい言い方をすれば「理念」と言ってもいい。よりよくなりたい、よりよくしたいという、現実の原動力としての、その思いだ。このことを自覚している大人はとても少なくて、やがて理想を語る君に対して、「もっと現実を直視しなさい」と諭すようになるだろう。でも、見えるものとして現れた現実だけを見て、見えない現実を見ていないのは彼らの方なんだから、適当に聞き流すがいいよ。

 現実の原動力としての理想! それに対して、何も生み出さない現実。

  さて、君の人生はこの社会に含まれているのだから、この社会がよりよくならなければ、君の人生だってよりよくなるわけがないのは当然だ。この当然の事実に気がついた人々は、昔から、「よりより社会」、つまり「理想の社会」の実現に努力してきた。ユートピア、戦争や貧困のない社会、誰もが平等に生きられる社会がそれだ。

 ジョナスが住んでいた社会は、かなりの程度それを実現できていたように見受けられるわけですが、それらを実現するために失ったものも大きかったようです。求められるのは、常に選択??

96 なぜその努力のほとんどが失敗してきたのかについて考えてみよう。理想とは現実のことであるなら、なぜ理想の社会は現実にはならないのだろうか。
  現実を動かしているのは観念なんだから、観念が変わらなければ現実は変わらない。「よりよい社会で、よりよく生きる」という観念が、本当はどういうことなのか自分で判断していない人々が、集団になって、徒党を組んで、自分がよくなろうともせずに社会を変えようとしていたのだから、そんな社会は実現しても、前と何も変わらないのは当然じゃないだろうか(←20世紀の社会主義のことを指しています)。

 要するには、真の意味で努力をしていなかった!!

97 正しい仕方で理想をもつということは、とても難しいことだ。それが目に見えるものとして、実際に実現するかどうかということの方に、どうしても人は捉われてしまう。そして、理想というものは、見える現実を動かす見えない力として刻々として働いている、まさにそのことによって現実なんだという事実を忘れてしまうんだ。
  理想と現実とは別物ではないのだから、君が理想を持っている、それを失うことなく持ち続けているというそのことだけで、それは十分に現実的な力として、この世界の根底で確実に働き続けているんだ。むろんすぐになんか実現しないさ。だって、世界にはこれだけの人々がいるのだもの。でも、君が理想を失わないのであれば、いつかは必ず実現するんだ。
  「いつか」って、いつなのか。そんなことを知る必要はないと、正しい仕方で理想をもっている君なら、わかるはずだ。

 ウ~ン、わかりません!!!! 悲しいかな、わかりません。

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