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2010年10月15日金曜日

『ギヴァー』の感想

A.F.さんが、読んですぐの感想を送ってくれましたので、掲載します。


「ギヴァー」、いい本ですね。設定が面白い。

12歳の儀式のところまでは、現代社会への風刺としての舞台設定を強く感じながら読みました。物語の世界(コミュニティ)は極端な管理社会であるけれども(愛さえないとは恐れいった)、現代社会にも通じる面はありますね。というか管理されたがる人たちもいる?例えば現代でも、結婚サービス会社はデータを元に相手を紹介するし、職業だって適性テストとかある。誰かにこれがいいよと言ってもらえると楽ですもんね。物語の世界では、快適さという束縛と引き換えに選択する自由は失われている。現実の社会では、かつて選択の自由がない時代もあった訳で、それが当たり前とも言えない。自分で選択できるということはときに痛みを伴うけど、幸せなことですよね。

中盤のレシーヴァーの訓練のあたりは、生きる喜びを感じながら読みました。

前に何かの本に、現代の若者は強い刺激(暴力的な映像とかゲームとか、激しい音楽)がないと満足できないが、もっと日常の感覚を研ぎ澄ませた方がいいようなことが書いてありました。今食べている食べ物の味とか、歩くときに頬をなでる風とか…。今日は途中から晴れましたけど、地面には湿り気が残っていて、土のにおいを強く感じることができましたね。私も病気になって前より、日常のささいなことを意識するようにはなったんですけどね。でも、若い人の中には、陽光の暖かさとか家族と過ごすことの喜びとか気付かない人もいるでしょう。この本は児童文学ですが、やはり小学校高学年~中学生くらいに読んでもらいたい本だと思います。あ、こんな見方で世界を見ることもできるんだって。

小学校高学年に読ませたい割には、タイトルがちょっとわかりにくいかな~。もう少しSFっぽいタイトル(サブタイトル)だったらいいのに、と思います。(たとえば「はてしない物語」なんかはタイトルも装丁もワクワクさせてくれましたもんね)

脱出の計画を立ててからは急展開ですね。二人ぼっちの革命。勇気と強さの物語。最後にたどりついた場所はどこなんでしょう。ジョナスがゲイブリエルに与えた記憶はどう作用するのか。ちょっと消化不良の終わり方でした(だからこそ、ああでもないこうでもないと話合うことができて面白いんでしょうけどね)。3部構成になっているようなので、残りの2部が読みたい!いつ邦訳されるんでしょう?!(洋書は手に入りますが…)

この年で読んだからか、人生が変わったとまでは参りませんが(期待はずれだったらごめんなさい)、良書だと思うし、今の日本の子どもたちが読むことができるようになってよかったです!「伝達者の会」は具体的に誰にどんな働きかけをされたのでしょう?○○小にも置いてあるのかな?

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